昌平クリニック院長 鍋谷 欣市
人体と水の働き
水は人体の60%を占め、体内での水分量の割合は、血漿5%、細胞外液15%、細胞内液40%に分布してバランスを保っています。人体における水の主な働きは
(1)老廃物の排泄と新陳代謝の活性化
(2)発汗による体温の調節
(3)有害物質の希釈と排泄
(4)血液、細胞内外の循環の調節
などです。これらの水はたえず体内を循環し、1日に必要な水分量は体重1kgあたり40mlといわれ、60kgの男子で2400mlです。摂取量は飲料水1300ml、食物800ml、体内代謝水(食物が消化される際、化学反応で生じた水)300mlで、排泄量は尿1200ml、大便200ml、汗や呼気1000mlでバランスがとれています。
体にいい水、おいしい水
健康に適した体にいい水の条件としては
(1)有害不純物がない
(2)硬度は軟水
(3)pHは弱アルカリ性
(4)酸素、炭酸ガスが溶けている
(5)臭気がない
(6)残留塩素が少ない
などがあげられます。ワインや酒のように、個人の嗜好もありますが、水の含有成分と温度で美味しさは左右されます。水温は季節にもよりますが、体温マイナス25度C、つまり、10度C前後が良いでしょう。
硬水と軟水の違い
水には物質をよく溶かす特性があり、自然に存在する河川、湖沼、地下水などには、いろいろなミネラルが溶け込んでいます。ミネラルを多く含む硬水と、ミネラルの少ない軟水に分けられます。科学的分類では、1L中のミネラルの主成分であるカルシウムとマグネシウムの合計量を硬度と呼び、硬度100mg以上の水を硬水、硬度100mg以下の水を軟水と定めています。硬水は口に含むと引き締まった硬さが感じられ、軟水は口の中で優しく広がる特徴があり、緑茶、紅茶に適します。
いろいろな水
(1)
水道水は河川からの貯水を浄水処理したものですが、殺菌のため塩素を注入している点が問題です。数年前の全国調査では、飲料水に使う人は半分以下でしたが、最近は高度浄水法によって、水道水も美味しくなり見直されています。自治体のボトル商品も販売され、人気も高いようです。
(2)
海洋深層水は水深200m以上の海水で、病原菌がなくミネラルが豊富です。高知県室戸市沖の深層水が有名です。
(3)
ミネラルウォーターは、日本では特定水源からの自然水を殺菌したものがほとんどです。しかし、外国のものは無殺菌の生水でボトルド・ウォーターと呼ばれています。
(4)
電気分解水はアルカリイオン水、酸性水など、pHに応じ用途が選ばれます。
(5)そのほかに鉱石を通した
活性水、
創生水などがあります。
胃切除者と水
胃を切除した人は胃酸の分泌がなくなり、無酸症ですからアルカリイオン水は不適です。炭酸ガスの少ない軟水がお勧めです。動脈硬化、老化、骨粗鬆症には硬水、深層水が良いといわれていますが、胃切除後の反応は異なりますので、少量から試してみると良いでしょう。