【回答者】 昌平クリニック院長 鍋谷 欣市
漢方薬と西洋薬の飲み方
胃切除後5年を経過し、平素は他に病気もなく、健康に過ごされているものと拝察いたします。たまたま風邪を引かれて、内科を受診し、解熱剤と漢方薬の
葛根湯(かっこんとう)を処方されたものと理解いたします。後で述べますが、薬の飲み方は、どのような健康状態であるかが問題になります。
一般に、漢方薬は食前または空腹時に、西洋薬は食後に服用することになっています。特に葛根湯には、葛根と麻黄という解熱作用のある生薬が入っていますので、西洋薬と一緒に飲むと、作用が強くなり過ぎたり、副作用が出る可能性がありますので、同時の服用は避けます。
葛根湯の飲み方
葛根湯には、煎じ薬と粉末エキス剤がありますが、効用は同じです。エキス剤は1包2.5gで、1日3包7.5gが大人の常用量です。通常は粉末を口に含み、微温湯で飲みますが、オブラートで包んで飲んでも良いし、また、粉末を茶わんに入れて湯を注ぎ、よくかきまぜ、煎じ薬のようにして飲むのも良いです。
服用後は床につき、毛布や布団で体を温めます。1時間前後で汗ばみ、やがてじっとり汗をかき、いつの間にか解熱しています。このとき、よく汗をふき、肌着を交換してください。
もし、2〜3時間経過しても全く汗をかかず、解熱しない場合は、再度、葛根湯を服用し、発汗、解熱効果を待ちます。それでも解熱しない場合は、西洋薬を服用しましょう。
風邪への漢方処方は多様
風邪といえば、葛根湯と思われがちですが、実は症状に応じて多くの処方があります。初期の風邪には桂枝湯(けいしとう)と葛根湯が代表格です。
桂枝湯は、桂枝、芍薬、大棗、甘草、生姜の五味の生薬から構成され、頭痛、発熱、発汗、悪寒の4つの症状が見られる方に適切な処方です。特に発汗は、じっとしていても汗ばむのが特徴で、虚証といわれる虚弱体質の方に見られる症状です。
一方の葛根湯は、桂枝湯に葛根と麻黄を加えたもので、頭痛、発熱、悪寒とともに汗が全く出ない無汗と項背が強ばる症状が特徴として出る実証と呼ばれる丈夫な体質の方に適切な処方です。
ご質問者ののどの痛みも、葛根湯の麻黄、芍薬、甘草などで緩和されるでしょう。
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生薬 |
桂枝湯 |
葛根湯 |
桂枝 |
4 |
2 |
芍薬 |
4 |
2 |
大棗 |
4 |
4 |
甘草 |
2 |
2 |
生姜 |
1.5 |
2 |
葛根 |
― |
4 |
麻黄 |
― |
3 |
桂枝湯と葛根湯の組成表
(大人1日分の生薬の量:g)
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桂枝湯、葛根湯の他にも、生薬の一味一味の加減で、
麻黄湯(まおうとう)、
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)、
小柴胡湯(しょうさいことう)、
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)など、証に応じた風邪の処方があります。