ひざ痛は漢方の得意分野の一つ!
ひざの痛みのもとになる疾患の中で、最も多くみられるものは変形性膝関節症です。これは、ひざ関節の軟骨がすり減ることによって起こります。
軟骨は骨と骨の間にあって、骨同士が直接こすれ合わないようにクッションの役目をしています。それがすり減ると、当然ですが、骨同士がこすれ合って痛みが生じるのです。
いわゆる老化現象の一つで、すり減った軟骨を元に戻すことはできません。したがって、西洋医学では、薬物療法で痛みを取るほか、手術が行われることもあります。変形性膝関節症は、実は、漢方の視点から見ると、患者さんに、ある共通した特徴が浮かび上がってきます。
一つは、色白でポッチャリした水太りの人が多いことです。これは体内の水分の巡りが悪い、漢方でいう「水毒(すいどく)」の状態です。変形性膝関節症で、ひざに水がたまる人などは、体内の水分の巡りの悪さを示す典型的な症状といえるでしょう。むくみやすい、汗をかきやすい、冷える、尿量が少ない、めまいや耳鳴りがするなどの症状を持つ人もいます。
二つ目は、血液中に中性脂肪やコレステロールが多い高脂血症の人が多いことです。これは体内の血液の巡りが悪い、漢方でいう「瘀血(おけつ)」の状態を示しています。そこで、体内の水分や血液の巡りをよくする治療を行うのです。ひざ痛は漢方の得意分野の一つで、うまく痛みが取れるケースが多いのです。
変形性膝関節症の治療で最もよく使われる漢方薬は、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)です。むくみやめまいなど、先に述べた水毒の症状の改善にも効果があります。
防已はオオツヅラフジの根と茎。黄耆はキバナオウギの根。どちらも体内の水分の巡りをよくする「利水剤」です。
ほかに4種類の滋養強壮効果のある生薬(漢方薬の原材料となる動植物、鉱物などの天然物)が組み合わせてあるので、これも変形性膝関節症の人に多い、体力がないタイプにも安心して使えます。痛みが強い場合は、防已黄耆湯に麻黄(まおう)を加えて出します。ただし、この処方は体力がある人に限ります。
そのほか、体力があって汗をかきやすく、のどが渇くタイプには越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を、体力が中等度で肌が荒れる、フケが出る、尿が出にくいなどのタイプには薏苡仁湯(よくいにんとう)や麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう) を処方することもあります。
ひざの痛みは漢方薬で案外スッキリと改善!
では、漢方薬で、変形性膝関節症が改善した例をご紹介しましょう。
Uさん(女性)は、72歳のときに右ひざに痛みが出て、整形外科を受診。変形性膝関節症と診断されました。
しかし、湿布をしても痛みはいっこうに取れず、痛み止めの注射も効きません。しかたなく、外でも家の中でも、杖をついて歩いていたのです。
そして、ひざにたまった水を抜きながら、痛みを我慢すること3年。漢方治療を始めたのは75歳のときのことです。
Uさんは、身長が155cmで体重が65kgあり、プヨプヨした水太り体形でした。舌にはむくみが現れ、ひび割れもありました。
また、おなかはポッコリと膨らんで(膨満)、みずおちにつかえ感があり、水毒の様相を呈していたのです。
|